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資本主義の本質について イノベーションと余剰経済

資本主義の本質について コルナイ・ヤーノシュ 著

コルナイ・ヤーノシュ 著

溝端佐登史/堀林巧/林裕明/里上三保子 訳

発売日:2016.02.24
定価:3,240円
サイズ:A5判
ISBNコード:978-4-7571-2348-9

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この本の内容

「資本主義は最悪の経済システムである。ただし、これまでに試された資本主義以外のシステムを除けばだが……」

ハンガリー出身の社会主義研究の泰斗であるコルナイ・ヤーノシュによる資本主義研究序説。 資本主義の本質を、「イノベーション」と「余剰経済」とし、イノベーションが起こりにくく、モノが不足する社会主義経済と比較しながら、資本主義システムの相対的な優位性を説く。
旧社会主義国における実体験、またアメリカをはじめとする数多くの資本主義国での教員経験に裏打ちされた「資本主義システムの擁護」は、本書の白眉。ハイエクの『隷属への道』、フリードマンの『資本主義と自由』といった古典にも比する一冊。

目次

日本語版への序文
英語版への序文

第1部 イノベーションとは何か
第1章 はじめに
第2章 資本主義, 社会主義, 技術進歩
2.1 1917年以降の革命的新製品
2.2 先駆者への追随, イノベーションの伝播
2.3 資本主義下で革新的企業家精神が育まれる
2.4 社会主義下で革新的企業家精神は発揮できない
2.5 政治的要因が技術進歩に与える影響
2.6 システムと技術進歩――本章のまとめ
第3章 技術進歩の転換と加速
3.1 新しい革新的企業家の事例
3.2 後追いと普及の加速
3.3 体制移行期における創造的破壊
第4章 人は歴史的事実をどう受けとめるか
4.1 イノベーションは資本主義の結果と理解されない
4.2 経済学者の責務とは
4.3 政治家の責務とは
4.4 相互接続性と民主主義は相関する
第5章 おわりに

第2部 不足経済と余剰経済
第1章 はじめに
1.1 資本主義は余剰経済なのか
1.2 概念明確化への最初のアプローチ
1.3 経済学において本論が占める位置
1.4 問題の境界と構造――本論の構成
第2章 財とサービスの市場――余剰の再生産メカニズム
2.1 経済史からの事例――アメリカ合衆国の電信システム
2.2 供給におけるプロセス
2.3 需要におけるプロセス
2.4 価格決定におけるプロセス
第3章 財とサービスの市場――概念装置と測定手法
3.1 「純粋」で扱いやすい事例
3.2 第一の困難――供給と需要の継続的な相互調整
3.3 第二の困難――超過供給と超過需要との同時発生
3.4 転換――生産の障害とミクロの制約を観察する
3.5 第三の困難――「余分な」在庫から「必要な」在庫を区分する
3.6 第四の困難――正当ではない集計
3.7 測定と概念装置のための実践的な示唆
3.8 合成指標と「混合指標」の形成
第4章 労働市場――余剰再生産のためのメカニズム
4.1 概念の明確化と測定
4.2 システムの変化がもたらす労働市場へのショック
4.3 ケインズ学派における失業
4.4 資本主義にはらむ構造的失業
4.5 調整のミスマッチによる摩擦的失業
4.6 効率賃金の意味
第5章 実証的な説明と因果分析
5.1「均衡」概念の限界
5.2 非対称性の意義
5.3 2つの需要―供給レジーム
5.4 資本主義システムによる余剰経済の生成――因果連鎖
5.5 遺伝的な傾向
第6章 余剰経済の効果とその評価
6.1 その影響と価値判断について
6.2 イノベーション
6.3 消費者の主権とコントロールの範囲
6.4 生産性と調整
6.5 適応力
6.6 所得と富の分配
6.7 「物質的」価値と「精神的」価値
6.8 汚職の方向性の違い
6.9 資本主義的競争の利点と欠点――自動車工業の例を通して
6.10 資本主義と余剰経済に賛成する立場
6.11 理論的統合への余地とその制約
6.12 説得力ある数理モデルへの需要
第7章 一般的図式からの応用
7.1 景気循環の変動において
7.2 戦時経済において
7.3 現代資本主義における歴史的変化と持続
7.4 社会主義国の市場志向の改革とポスト社会主義への移行
第8章 おわりに

補論1 自由,平等,博愛――社会主義体制崩壊以後の変化の考察
1 はじめに
2 自由
3 平等
4 博愛
5 展望

補論2 一人の東欧知識人の目に映るマルクス
1 はじめに
2 マルクスに引き寄せたもの
3 マルクスの思想から解き放ったもの
4 社会主義体制に対する知的責任
5 マルクスの教えのうちで生き残るもの

訳者あとがき
参考文献
索引

著者紹介

[著者]
1928年,ハンガリー・ブダペスト生まれ.社会主義と資本主義という比較の中から「反均衡」,「不足の経済学」といった新たな概念を提起しながら,主流派経済学に対して従来の概念への再考を迫っている.自らを「異端」と位置づけながらも,国際計量経済学会,ヨーロッパ経済連合,国際経済学連合の会長を歴任し,世界的に経済学界をリードしている.
主な邦訳著書に,『反均衡の経済学』(日本経済新聞社,1975年),『「不足」の政治経済学』(岩波書店,1984年),『経済改革の可能性』(岩波書店,1986年),『資本主義への大転換』(日本経済新聞社,1992年),『コルナイ・ヤーノシュ自伝』(日本評論社,2005年)などがある.

[訳者]
溝端佐登史(みぞばた・さとし):京都大学経済研究所所長
堀林巧(ほりばやし・たくみ):金沢大学経済学部教授
林裕明(はやし・ひろあき):島根県立大学総合政策学部准教授
里上三保子(さとがみ・みほこ):京都大学経済研究所勤務